バイオフィリアとは「人間は生まれながらにして自然を好む性質がある」という概念です。
植物に囲まれ小鳥のさえずりが聞こえる空間では目の疲れやストレスが低減されることがわかっており、建築設計にも応用されています。
この記事では、オフィス(ワークプレイス)やホテル、公共施設、住宅などバイオフィリアを取り入れたさまざまな建築事例をご紹介します。
バイオフィリア仮説とは
バイオフィリア仮説とは「人間は生まれながらにして、自然を好む性質がある」とする概念です。(バイオ=生命/自然 + フィリア=愛)
森や川などの自然に囲まれていると「なんとなくリラックスできる」と感じることがあります。
植物を眺めたりや水の音を聴くことなど、自然に触れることは疾病の予防やストレス低下につながることが最近の研究からわかっています。
ここ数年の急激な都市化により、都会に住む人たちはさらに自然とかけ離れてしまっています。
無機質な環境で生活する中で自然との本能的なつながりを求める人々が増えています。
そのような背景からバイオフィリアを建築に取り入れたバイオフィリアデザイン(Biophilic design)という新しい建築が生まれました。
バイオフィリアを取り入れた建築事例
バイオフィリアはオフィス・ワークプレイス、ホテル、ショッピングモール、住宅など様々な建築で取り入れられています。
チャンギ国際空港(シンガポール)
チャンギ空港は世界ベストエアポートとして常にランクインするシンガポールの空のメイン玄関口です。
各ターミナルではそれぞれガーデンがあり、花が咲き乱れるサンフラワーガーデンや1000羽を超える蝶が生息するバタフライガーデンなどいたるところに緑が溢れています。
中でもカクタス・ガーデン、100種類以上のサボテンや多肉植物が栽培されている魅力あふれるスポットです。
またシンガポールは「ガーデンシティ」として知られており、チャンギ国際空港の他にもバイオフィリックデザインを取り入れた多数の建築物があることで有名です。
マリーナベイサンズの隣にあるガーデンズバイザベイでは人工樹に見事な壁面緑化が施され、夜はイルミネーションで彩られます。
パークロイヤル・コレクション・マリーナ・ベイ
「パークロイヤル・コレクション・マリーナ・ベイ」はシンガポールにオープンした新たなバイオフィリック型施設です。
サステナビリティー(持続可能性)とウェルネスをテーマに設計されたこのホテルには、高さ13メートルの壁面緑化や、2400本以上の植栽を配置した屋内庭園があります。
最新の浄水システムによって水道水を再利用したり、廃棄した食品を分解して植物の栄養にするといった取り組みが行われおり、サステナビリティーへの配慮が至る所でなされています。
鳥の巣をイメージして作られた休憩スペースは、夜になるとランタンのように明かりが灯ります。
Bar Botanique(オランダ アムステルダム)
オランダのアムステルダムにあるBar Botaniqueはジムを改装して作られたカフェ&バーです。
こちらのBar Botaniqueは、世界的な旅行メディアBig 7 Travelで世界で最もInstagrammableなカフェ50選にも選ばれています。
(Instagrammable = 日本のインスタ映え)
店内には大型の観葉植物やグリーンを基調としたインテリアで彩られています。
天井に取り付けられたアームからは、店内を明るく照らす鏡や小さめの植物が吊り下げられています。
M.I. bookstore(中国 ハルビン)
中国のハルビン市にある本屋M.I. bookstoreはバイオフィリックデザインを取り入れた建物です。
画像手前にあるドーム型の部屋は繭(まゆ)をイメージして作られており、温もりのある木の柔らかな曲線が印象的です。中ではコーヒーを飲みながら読書を楽しむことができます。
Leman Locke Hotel (イギリス ロンドン)
イギリスのロンドンにあるホテルLeman Locke。
このホテルでは期間限定で3つのスイートルームをバイオフィリックデザインに仕上げました。
スイートルームはそれぞれ生産性、静寂、ロマンスをテーマに、有名なデザイナーによって手掛けられました。
特に、生産性の部屋をデザインしたOliver Heathは、バイオフィリックデザインを専門とするデザイナーです。
動画では、Oliver Heath自身がバイオフィリックデザインの効果について語っています。
バイオフィリックデザインの家・住宅事例
Mitosis(オランダ)
Mitosisはオランダに建設予定のバイオフィリックデザイン住宅施設です。
気候変動や資源の枯渇など世界的に持続可能性が求められている中で、Mitosisを設計した「GG-Loop社」が出した解決策がバイオフィリック建築でした。
Mitosisでは環境に配慮した再生エコシステム工法で建築を行っています。
1つの細胞が細胞分裂しやがて大きな器官となることから着想を得たこの工法は、1つの小さいひし形モジュールをいくつも組み合わせることで建築を行います、
モジュールを水平・垂直方向に連結することでコンパクトな建物から巨大な建物まで、1つのモジュールで拡張が可能。
共通モジュールには環境に優しい木材を使われているため低コストで効率の良い組み立てが可能となり、資源の消費を最低限に抑えます。
ボスコ・ヴェルティカーレ(イタリア ミラノ)
ボスコ・ヴェルティカーレはイタリア・ミラノにあるツインタワーです。
このタワーは地上27階建、高さ110mの棟と19階建、高さ76mの2つの棟から成ります。
2棟には合計で3~6mの中高木が900本、低木が5000本、花が1万1000株も植えられています。
樹木は土の中でがっちりと固定されており木の幹も安全ケーブルで結束されているので、風で幹が折れたとしても落下しないように配慮されています。
バルコニーの樹木はプライバシーを程よく確保し、かつ地上高くにいることを忘れてしまいそうな絶景を生み出しています。
都市ではありがたい緑の景観を作りつつ日光を遮蔽することでCO2削減にも貢献しています。
バイオフィリアはオフィス・ワークプレイスにも導入
バイオフィリックデザインの建築設計は住宅やホテルだけでなく、オフィス・ワークプレイスにも取り入れられています。
海外ではアマゾンの「ザ・スフィアズ」やシンガポールの「Salad Dressing」など有名なバイオフィリックデザインオフィスが増えています。
こちらにバイオフィリックデザインのオフィス・ワークプレイス事例をまとめていますのでぜひ参考にしてください。
ご相談・お問い合わせ
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